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Friday, August 15, 2014

核兵器、原発、戦争責任 ~沼田鈴子さんの目で見る放射能被害と戦争の非人道性~(田中利幸 講演ノート)

8月15日、日本降伏の日です。田中利幸氏(広島市立大平和研究所教授)による中高生から大学生向けの講演ノート(8月7日に広島で開かれた日本YWCA主催「ひろしまを考える旅2014」での基調講演)を投稿いただき、この日に紹介できる意義深さをかみしめています。期せずしてこのブログ運営者も今マレーシアで日本による戦争被害を学ぶ旅に参加していることに偶然とはいえないものを感じます。@ペナン島にて


核兵器、原発、戦争責任
~沼田鈴子さんの目で見る放射能被害と戦争の非人道性~

講演ノート

田中利幸


1) 広島・長崎の被爆者証言の力強さと弱さ

1945年8月6日と9日の広島と長崎への原爆投下による死亡者は、その年末までに23万人(内4万人は韓国・朝鮮人)にのぼりました。その後も、この69年の間、多くの被爆者が主として放射能被曝によって発病した白血病や様々な癌が原因で亡くなっていきました。これまで長年の間、多くの被爆者が、原爆によるむごたらしい無差別大量殺傷を生き延びた自分の体験を詳しく証言することで、核兵器の恐ろしさを国内外に訴えてきました。核兵器のそのような恐ろしさについて世界に向けて警告を発してきたという点で、(「かたりべ」と呼ばれる)被爆者の人たちの貢献はひじょうに重要かつ貴重です。

しかし、その一方で、被爆者のほとんどが、自分たちのきわめて特異な戦争被害体験だけを強調する一方で、他の戦争被害者、例えば通常爆弾や焼夷弾、枯れ葉剤の被害者やその他の方法による大量虐殺(例えば南京虐殺)の被害者と自分たちとの共通点には、ほとんど目を向けてこなかったという弱点があります。とくにアジア太平洋戦争中(1931-45年)に日本軍が犯した様々な残虐行為=戦争犯罪の被害者に目を向けてこなかったため、中国、韓国・北朝鮮をはじめアジア各国の人たちから被爆者が同情を受けることはほとんどありません。つまり、自分たちの被害だけを一方的に発信する一方、日本が犯した様々な残虐行為で犠牲になった人たちへの日本の加害責任の問題を被爆者は避けてきました。

同時に、被爆者の人たちの大部分が、2011年3月の福島原発事故が起きるまで、核兵器と原発は別のものであり、原発は「原子力の平和利用」であると肯定的にとらえ、アメリカのスリーマイル原発事故(1979年)やロシアのチェルノブイリ原発事故(1986年)で放射能被曝した数多くの人たちに対しても、ほとんど目を向けてきませんでした。


2) 沼田鈴子さんの証言・平和活動の卓越性

そのような被爆者の中で、ひじょうにユニークな証言・平和活動を積極的にされたのが、広島の被爆者、沼田鈴子さん(1923-2011年)でした。原爆によるすさまじい爆風で吹き飛ばされ、その結果、左足切断を余儀なくされた沼田鈴子さんは、単に自分の被爆体験を語るだけではなく、国内外の様々な戦争被害者、とりわけ日本軍が犯した戦争犯罪の被害者とも直接会い、その人たちとの交流を通して反戦平和活動を力強くすすめました。また、チェルノブイリ原発事故が起きてからは、原発事故と核兵器の両方による放射能汚染の恐ろしさの共通点についても注目し、原発廃止の声もあげるようになりました。さらに、沼田さんは、被爆を生き延びた樹木である青桐に、「痛みの共有」、「命の再生」と「希望の創造」というメッセージを託し、被爆青桐の種を日本国内だけではなく世界各地に拡散させ、青桐を繁らせることで、年齢、性別、人種を問わず、多くの人に感動を与え続けました。

沼田さんは、自分の証言活動を通して多くの人と出会い、「痛み」を分かち合うことで感動し合い、そこに新しい人間関係を発見し、その新しい人間関係から希望のある行動を共に出発させることで、世界の多くの人々と親交を深めました。沼田さん自身がしばしば述べたように、「出会い - 感動 - 発見 - 出発」が、沼田さんのモットーの一つでした。

しかし、沼田さんの証言・平和活動が、最初からこのような人間的深みと広がりをもっていたわけではありません。


3) 戦前・戦中の沼田さん

沼田さんは1923年に大阪で生まれましたが、彼女が5歳のときに、父親の仕事の関係で一家が広島に移ることになりました。小学校2年生のときに満州事変(1931年9月18日に日本軍が起こした鉄道爆破事件:ここから15年にわたるアジア太平洋戦争が始まった)が起きました。小中学校時代の彼女は、戦争には全く無関心でした。1936年に広島市内の安田高等女学校に入学。翌年の1937年7月7日、盧溝橋事件が起きて日本は中国と全面戦争に突入しました。

1937年8月、日本軍は南京をはじめに中国各都市に爆撃を開始しました。とくに重慶は、中国国民党政府・市民の戦意喪失をねらって日本軍が行った最大の無差別爆撃の攻撃目標となりました。1939-41年に3次にわたっておこなわれた重慶無差別爆撃の犠牲者は、死者1万9千人、負傷者1万4千人にのぼっています。

1937年12月には南京に侵入した日本軍が、推定20万人という数の中国市民の大虐殺を行いました。しかし、この大虐殺については何も知らされなかった当時の日本人は誰もが大喜びしました。「南京城陥落」を祝う提灯行列が日本各地で行われ、広島での行列には沼田さんも参加しました。
1939年7月からは、沼田さんたち女学生は勤労奉仕にかりだされ、広島の兵器製造工場で、大砲の弾丸(直径30センチ、長さ70センチ)を磨いてサビを落とす作業をさせられました。このとき沼田さんは、「お国のために役立っているのだわ、私たちが一生懸命に磨いた、この大砲を日本の軍隊が使って、敵を一人でも多く殺せば、日本は戦争に勝つのだから、心をこめて磨かなければいけない、しっかり磨いて、早く戦場に送り届けたい」と思ったそうです。つまり、「筋金入りの軍国少女」になっていたとのこと。

沼田さんは1940年に安田高等女学校を卒業し、しばらく家業を手伝ってから、広島逓信局に就職しました。1943年秋に島根県松江市に住む男性と婚約しましたが、間もなく婚約者には召集令状がきて軍隊に入隊。翌年3月に、彼は広島の宇品港から東南アジアの戦地に向けて出征。港まで見送りにいった沼田さんは、「死なないで帰ってきて下さい。軍人として手柄をたてて下さい」と心の中で叫んだそうです。

1945年8月6日の朝、いつも通り広島逓信局(爆心地から1.3km)に出勤した沼田さんは、原爆で崩れたコンンクリートの下敷きとなり、一命をとりとめましたが、左足に大けがを負い、8月10日に左足を麻酔薬もなく切断することを余儀なくされました。数日後には、婚約者も、乗船していた船が攻撃を受けて沈没し亡くなっていたことを知らされました。


4)証言活動を始める以前の沼田さん

沼田さんは、婚約者が戦死したことも重なって、被爆後しばらくは精神的打撃から立ち直ることができず、自暴自棄になり、自殺を何度も考えたこともありました。しかし、ご両親や妹さんの愛情に支えられながら、1947年9月には教員となることをめざして再び立ち上がりました。にもかかわらず、学生の間も、教員となってからも、身体障害者と被爆者に対する二重の差別に苦しめられるという苦い経験から、被爆者であることを隠し続ける生活を、その後長年続けました。

1957年には、沼田さんにプロポーズした同僚の男性教師が、彼の親が被爆者との結婚には猛烈に反対したため、自ら命を絶つという悲惨な出来事が起きました。そのため、沼田さんは「もう再び人を愛することはすまい」と決意します。屈辱的体験に対する感情的反応を心理的に閉め出してしまうというこのような心理現象は、被爆者だけではなく、他の戦争犠牲者にも多く見られるものです。しかし、こうした「感情的反応の心理的閉め出し」は心理的な自己抑圧をもたらし、人間関係を断ち切るだけであって、人間関係の修復・再構築という点ではなんらの解決策も産み出しはしません。その結果は、徐々に自己の「人間性喪失」をもたらすことになります。

しかしながら、沼田さんの場合には、ご自身が身体障害者であるということから、自分の仕事との関連で障害者支援という活動に従事したことが、「他者の痛み」への配慮という温かい人間性を育み続け、自己の「人間性回復」へと繋がっていったのではないかと考えられます。さらには、病に倒れた母親の介護のために1979年3月に教職を退いた後も、原爆特別養護老人ホームでのボランティア活動を通して、「人間関係構築」をはかりました。そうした「人間性回復」の蓄積が、1983年に本格的な証言活動を開始した後で大きく開花することになります。つまり、身体障害者であるというハンディキャップが、彼女の人間性を豊かにするという、逆説的な結果につながったのです。

被爆者に対する差別と偏見が理由で被爆体験を語らない、あるいは「あの悲惨な出来事は言葉で表現できるようなものではない、それゆえ、語ることは嘘をつくことにもなり、死者を冒涜する」と考え、沈黙を続ける被爆者が今なお多くおられます。しかし、長く沈黙を守ってきた被爆者が、ある日突然、証言活動に乗り出すというケースも多々見られます。その動機は被爆者それぞれによって異なるでしょうが、沼田さんも、そうしたケースのお一人でした。


5)証言活動の開始と初期の証言内容

沼田さんの場合は、1981年5月、10フィート運動によって入手可能となったフィルムを、映画『人間をかえせ』として制作するために、編集段階で見せられたことがきっかけとなりました。沼田さんは、1946年3月にアメリカ戦略爆撃調査団が撮影した、切断された痛々しい左足をさらけ出した35年前の自分の映像と対面させられました。その公開承諾を初めは躊躇したものの、被爆者で当時すでに「かたりべ」であった坂本文子さんと出会い、彼女の「私もあなたも生かされている」という言葉に勇気づけられ、証言活動を始めることになりました。このとき沼田さんは、すでに57歳になっていました。

35年前の自分との対面で、沼田さんの心理にはどのような変化が起きたのでしょうか。カメラに向かって虚ろな目を向けている35年前の自分に、沼田さんは精神的には「死んでいる自分」を見たのではないでしょうか。徐々に人間性を回復してきて今ここに生きている自分が、「死んでいる過去の自分」と対面させられることによって、それとは極めて対象的な、自己の生命力のその活力と大切さをあらためて再認識させられるという、「命の再生」という思想的体験を沼田さんはしたのではないでしょうか。その貴重な体験が沼田さんを動かしたのではないでしょうか。沼田さんの87年にわたる人生の中では、後で述べる被爆青桐だけではなく、他にも様々な要素が沼田さんを動かしていきました。

証言活動を開始したからといって、すぐに沼田さんが被爆青桐の話を自分の証言の中で紹介しはじめたわけではありません。1982-83年、映画『人間をかえせ』の海外上映隊に参加してヨーロッパ、カナダ、アメリカを訪問し、各地で証言を行いましたが、ご自分も認めていたように、その証言は原稿に書かれた形式的な文章を読み上げ、通り一遍の核兵器廃絶を訴えるだけのもので、聴き手に感動を与えるような内容のようなものではなかったのです。

沼田さんが本格的な証言活動を開始したのは、『人間をかえせ』上映旅行から帰国した1983年からです。証言活動のこの初期の段階で、沼田さんがどのような内容の証言をしていたのか、その詳細は明確ではありません。しかし、これまたご本人が述べられているように、自分と逓信局の職場の同僚たちが体験したすさまじく残酷な被爆状況を、涙を流しながら語るということに終始した証言だったのです。そのため、彼女の証言を聴いた子供たちの感想文は「かわいそうだ」というものが大半であったということです。したがって、沼田さんは、このような証言では、子供たちに被爆者の苦しみの実情と核兵器廃絶の重要性を知ってもらうことはできないと反省し、もっと冷静に事実を知ってもらえるような証言作成に努力したと述べています。

これより4年後の1987年における沼田さんのビデオ・テープ証言記録が、広島市平和記念資料館に所蔵されています。逓信局ビル跡地に残されている、正面玄関にあった階段を背景に、30分ほどの証言ですが、極めて冷静に、しかし詳細にわたり被爆当時の惨状を説明しています。1年半の間に4回も手術を受けなければならなかった自分の足の状態、瀕死の状態で隣に横たわっていた人の吹き飛んだ右腕の肉を大きなウジ虫が喰っている恐ろしい状況や、妹さんが乳癌を患い、甲状腺癌の疑いもあることなど、原爆投下による犠牲者の苦悩、苦闘にのみ焦点が当てられた証言内容です。その証言は、「今日は他人の身、明日は我が身」という言葉を引いて、いつあなたも核兵器の被害者になるかもしれないと示唆し、したがって現在の繁栄に甘えることなく、いつでも平和が続くということを信じてはならないという警告で終わっています。

つまり、この段階での証言は、徹底した被害者意識にのみ基づいた内容で、私たちが現在知っている「他者の痛みへの配慮」、「命の再生」、「希望の創造」といったものとは格段の差があります。被爆青桐の話は全く出てきません。このように、1987年の段階においても未だ、証言内容が一貫して「被害描写」に集中していたことは否めないように思えます。ただし、「私たち被爆者は、事実を知るためにもっと勉強して、<見える者>になりたい」という、沼田さんらしい発言が結論部分で述べられています。「事実を求める知恵が平和をつくる大きな力になる」という、その後の沼田さんのモットーとなった信念は、すでにこの段階で形成されつつあったことが分かります。


6)沼田さんの思想に最初から根づいていた「痛みの共有」

1983年の段階に話を戻しましょう。子供たちの「かわいそうだ」という感想文からの反省を踏まえ、感情を抑え、なるべく冷静に話すという手法はとられても、おそらく、引き続き自分の被爆状況と被爆者の苦しみに焦点をおいた証言内容に、基本的には変化がなかったものと推測されます。だからといって、聴き手の子供たちの心を動かさなかったとは決して言えません。

1983年11月に、大阪府立西成高校2年生220名の一行が修学旅行で広島にやってきました。在校生のほぼ4分の1が被差別部落出身、在日韓国人・朝鮮人、崩壊家庭、貧困家庭といった背景をもつ生徒たちで、彼らに対する根深い差別意識のために、学校は低学力、非行、校内暴力で荒廃していました。集まった15名の被爆者たちが、精神的に荒れたこれらの生徒たちに証言を聴かせることになりました。その15名の中に沼田さんも加わっていました。小グループに分けられた生徒たちが各被爆者から被爆体験を聴き、原爆で家族を失った悲しみや、差別や病気の苦しみを乗り越えて生きているという証言に、自分たちがおかれている境遇との共通点を発見し、深く心を動かされました。この修学旅行の後、西成高校に大きな変化が見られるようになりました。それは、生徒たちと被爆者の間に「痛みの共有」という現象が起きた結果だったのです。

被爆者に「痛みの共有」を見いだした生徒たちの一部が中心となり、様々な困難を克服して、翌年の8月に50名ほどのグループで再び広島を訪れ被爆者と再会しました。生徒たちは、このとき原爆病院に入院を余儀なくされていた沼田さんを見舞います。沼田さんは、生徒たちの中に両親を亡くし苦学している男子学生を見つけ、自分の長い闘病記録が記されている期限切れとなった原爆手帳を彼に手渡し、次のように呼びかけました。「これ、あなたにあげるから、私の原爆手帳。どんな苦しいことがあっても、私がこんなに頑張ったんだから。苦しいときはこれを見て、あなたも頑張らなくちゃ駄目よ。あなた親がいないと言ったでしょう。だけど、親がいなくたって、広島の被爆者の人が見守ってあげているからね。勇気を持って、頑張ってね。」彼は、沼田さんの手をしっかり握りしめ泣きました。感動を呼び起こす、「痛みの共有」の象徴的な場面です。沼田さんは、若者たちとの「痛みの共有」を通して、自分自身が強く勇気づけられたと明言しています。

したがって、証言活動を始めたばかりのこの時期の沼田さんの証言内容がいかなるものであったにせよ、沼田さん自身の人格の中に「他者の痛み」への深い配慮と、「痛みの共有」への強い願望がしっかりと根づいていたことが分かります。すでに述べたように、それは、沼田さん自身が身体障害者であり、障害者支援活動によっても培われてきた彼女の人間性によるものでした。しかし、この「他者の痛み」が強烈な形で証言内容に反映されるようになるまでには、後述しますように、もっと多くの「出会い」を経る必要がありました。

1984年12月23日に、沼田さんは日本キリスト教団府中教会にて洗礼を受け、キリスト教者となっています。沼田さん自身は、自分の宗教信仰については、公的な場所ではほとんど述べていません。極めてプライベートなことと考えていたのかもしれません。しかし「洗礼」は、言うまでもなく、キリスト信仰を通して自分が精神的に生まれ変わる、すなわち「自己再生」という意味をもつものであり、このことも沼田さんの後の証言内容の重要な要素の一つである「命の再生」と、思想の上では深く関連しているのかもしれません。

1985年3月には、沼田さんは在韓被爆者実態調査団に加わって初めて韓国を訪問し、韓国人被爆者と交流。1988年8月には「ヒロシマとオキナワを結ぶ市民の会」のメンバーとして沖縄を訪れ、沖縄戦で市民がなめた様々な苦汁について学ぶと同時に、米軍基地の実態についても直に自分の目で見ることになりました。こうして彼女は、徐々に広島以外の戦争被害者と出会い、戦争関連の知識を精力的に吸収しはじめました。しかし、この段階での「出会い」は、同じ原爆被害者としての韓国人、同じ太平洋戦争被害者としての沖縄市民であったことから、「他者の痛み」への配慮は、自国民とその延長である韓国人の戦争被害者仲間としての「他者」に限定されたものでした。


7)沼田さんの思想と活動の飛躍的発展

沼田さんの思想と証言・平和活動を大きく飛躍させる「出会い」は、1988年の終戦記念日8月15日に起きました。この日、「アジア太平洋地域の戦争犠牲者に思いを馳せ、心に刻む会」が大阪で開いた市民集会で、ここに招かれた5人のマレーシア人の証言を、沼田さんは初めて耳にしました。彼らは、太平洋戦争中に日本軍がマレー半島で犯した大量虐殺で親族を殺され、自分たちもかろうじて生き延びた人たちだったのです。シンガポール・マレー半島での日本軍による大量虐殺の犠牲者は10万人にのぼると言われていますが、彼らは、マレー半島のネグリセンビラン州で抹殺された4千人を超える住民虐殺で親や兄弟姉妹を殺され、自分たちも銃剣で傷つけられた人たちだったのです。しかも、このマレー半島を侵略し虐殺に加わった兵隊たちの一部は、広島に本部が置かれていた第5師団歩兵第11連隊所属の兵員だったのです。このマレーシア人たちとの出会いによって、沼田さんは戦争行為が持つもう一つの局面、すなわち「加害」の局面に直面することになりました。翌年3月下旬から4月上旬にかけて、沼田さんは、美術の先生である吉野誠さん御夫妻と共に、マレーシアに慰霊と証言を聴く旅に出て、さらに詳しく「加害」の状況について学びました。

日本軍の非人道的な残虐行為に対する責任は、戦時中に日本勝利を願って軍需工場での動員作業に汗を流した自分、婚約者の出征の際に「一人でも多くの敵兵を殺して手柄をたて、日本勝利のために頑張って欲しい」と願った自分、その自分の「加害者」としての責任という思いと重なり合い、沼田さんは彼らに謝罪します。そうした謝罪によって、沼田さんのそれまでの限定された「他者の痛み」への配慮が、一挙に深みと広がりをみせ、「いかなる人の人権も尊重する」という普遍的で根本的な原理に裏打ちされた「他者への痛み」への共感として、強く且つ深く彼女の思想の中に根を下ろしたものと考えられます。こうした沼田さんに、マレーシアの被害者たちも沼田さんの原爆被害による「痛み」に対して応えるという、「痛みの共有」という感動的な現象が起きました。

沼田さんは、1990年、91年には南京虐殺の犠牲者や重慶爆撃の犠牲者とも出会い、日本軍戦争犯罪行為の責任を認め、謝罪することによって、中国人被害者との「痛みの共有」にも成功しています。重慶は広島市と姉妹都市関係にありますが、広島の被爆者の中で、これまで日本軍の重慶爆撃について謝罪した人は、おそらく沼田さん一人だと思われます。

戦争が起きると、常に必ずといってよいほど「敵の顔」は非人間化されます。そのため生きた諸個人=普通の市民、つまりわたしたちと同じ市民である人間の顔も非人間化され、人間性が剥奪されてしまいます。他者を非人間化することを避け、戦争やテロ、暴力を防止するためには、私たち一人一人が、そうした暴力行為の被害者の立場に立ち、被害者の目線で暴力を見つめ直してみることが必要です。自分の国が犯した残虐行為の犠牲者であろうと、他国が自分たちに犯した非人道的行為の被害者であろうと、常に被害者の目線で見るということは、顔の見える具体的な被害者の「個人の物語」に耳を傾け、その人の「痛み」=精神的苦痛を自分が追体験し、内在化する、つまり自己の感性として自分の記憶の中にしっかりと根づかせるということです。沼田さんは、自分が出会った一人一人の戦争被害者の話にしっかり耳を傾け、その人の「痛み」を自己内在化することに努力し続けました。そのことによって、他者もまた、沼田さんの「痛み」を自分のものとする内在化で応えてくれました。そこから互いに「生きる希望」が創り出されたのです。


8)沼田さんが被爆青桐に託したメッセージ

こうした努力の結果、1990年代初期頃から沼田さんの証言内容に変化が表れたように思われます。自分の被爆者としての痛みについての言及は必要最低限な情報提供におさえ、むしろ、その「痛み」と「苦しみ」から自分が学びとったもの、すなわち「痛みの共有」、「命の再生」、「希望の創造」といった点に重点を置くようになったのです。それらを表す象徴として、被爆青桐の話が沼田さんの証言に使われるようになったわけです。被爆しても奇跡的に生き延びた青桐の木は、沼田さんが被爆した広島逓信局の敷地内にあった(現在は平和公園内に移植されている)ものでした。生前、しばしば沼田さんが子供たちに語った、この被爆青桐の話を引用しておきましょう。

「おばちゃんはね、何度も自殺を考えたことがあるのよ。夢も希望もあったのに、原爆で何もかもなくなったのですからね。良いお嫁さんになりたかった。子供を産んで立派なお母さんにもなりたかった。でも婚約者は戦争で亡くなり、おばちゃんは原爆で片足を切り落としました。若い娘でしたから。もう死を選ぶしかないと思ったの。そのときね、このアオギリに出会ってね。よく見ると、傷ついた幹からちょうど細い枝が出ていて、そこに小さな葉をつけていたのです。じっと見つめていると、アオギリがね、私にこう言ったように思うのです。あなたは生かされたのですよ、それなのに、なぜ死ぬことばかり考えるのですか、だめじゃないの - 。このときおばちゃんはね、ああ、仲間のアオギリは懸命に生きようとしているんだ、私も懸命に生きなくちゃいけない、こうはっきり決意したのです。だからおばちゃんは、アオギリから生きる勇気を教えられたのよ。」

おそらくは、1990年以前は、被爆青桐は、沼田さんの記憶の中ではそれほど鮮明に残っていなかった可能性があります。しかし、「痛みの共有」、「命の再生」、「希望の創造」といった要素が沼田さんの思考の中で重要性を増すにつれて、被爆青桐の記憶はこれらの要素と連結し、その意義を強調するような形で、記憶自体が沼田さんの中で鮮明にされ、高められ、説話化されていった可能性があります。

原爆によるすさまじい爆風で吹き飛ばされ、その結果、左足切断を余儀なくされた沼田さんの平和活動家としての見事な「再生」と、彼女が被爆した同じ場所で、激しく傷つきながらも新緑の芽を出し「再生」した青桐。しかも被爆を生き延びたその青桐が、原爆により精神を深く傷つけられ「死の呪縛」にとらわれていた沼田さんに、その呪縛から自己を解き放つ力を与え、生きることの希望を与えた青桐。「命の再生」と「希望の創造」を、自然と人間との相互関係として象徴的に表現する沼田さんの証言は、年齢性別を問わず、私たち聴く者全ての心を深く感動させました。沼田さんと青桐の相互関係は、しかし、傷ついた両者が互いに痛みを分かち合う人間関係の象徴性を内包しているからこそ、私たちの心をかくも強く震わせるのです。被爆青桐の「痛み」を語る沼田さんは、他者の「痛み」への優しい配慮を、青桐に疑似化して語っていたわけです。沼田さんは、「相手の痛みの分かる心を持つこと」に平和の原点の一つを求めましたが、青桐はその象徴的シンボルだったのです。青桐の繁殖は、「痛みの分かる心」の繁殖をめざしています。

いずれにせよ、沼田さんが被爆青桐に、私たちの誰にとっても重要な「痛みの共有」、「命の再生」、「希望の創造」という象徴性を持たせたことは、広島から世界に向けての「平和のメッセージ」発信という意味で、極めて重要なことです。「痛みの共有」、「命の再生」、「希望の創造」は、世界に共通する普遍的価値をもつ、私たち人間誰にとっても欠くことのできない要素であり、平和構築と維持にとって不可欠の要素であると私は信じます。それゆえ、これらこそ「ヒロシマの思想」の確立にとっての支柱となるべきものであり、広島市民が被爆体験から学びとり、継承すべき叡智であると考えます。

その意味で、沼田さんの証言・平和活動は、今後の私たち広島市民の反核・反原発・平和運動にとってのモデルを提供しています。新しい人との「出会い - 感動 - 発見 - 出発」を通して、さらには「痛みの共有」、「命の再生」、「希望の創造」に努力することで、平和の絆は必ず広がっていくはずです。


2014年8月7日 広島市民交流センターにおける講演


― 完 -


講演後の補足

(1)
被爆者の平均年齢が80歳に迫り、被爆者数も急激に減少しつつあるところから、最近、「被爆体験の継承」ということが盛んに広島では議論されている。そうした「継承」運動の広島市の主たる取組みは、被爆証言者=語り部の証言内容を、戦後生まれの非被爆者ボランティアがノートに書取り記憶し、語り部が亡くなった後は、語り部に代わって証言を行うという役割を担う、そのような人間を育成するというものである。これは「継承」ではなく単なる「伝承」である。「伝承」は限られた人間の間でほそぼそと伝えつがれるものであって、「平和メッセージ」のような世界各地の多くの市民を対象としたものではない。「自分の被害」状況だけを一方的に語る内容の「伝承」であるならば、それは「共感」をよぶことは難しく、遅かれ早かれ消滅していく。真の「継承」、すなわち「語り」の内容が多くの市民の共感をよび、長年にわたってそれが人々の心を震わせ感動し続けるためには、「語り」の内容が普遍的要素を強く具えていなければならない。つまり、「普遍的要素」がなければ、そのメッセージが拡散し永続化することは極めて難しい。したがって、「被爆体験の継承」には、沼田鈴子の証言活動に深く根づいていた「痛みの共有」、「命の再生」、「希望の創造」といった「普遍的要素」が欠かせない。沼田鈴子の証言・平和活動に、今後の私たち広島市民の反核・反原発・平和運動にとっての一つのモデルを見ると私が主張するのは、そのような理由からである。

(2)
最近、沼田鈴子をモデルにした劇映画『青桐にたくして』(http://aogiri-movie.net/)
が広島でも上映された。映画制作計画段階から支援を依頼されていた私は、完成する映画内容に大きな期待をよせていた。ところが、できあがった映画を観て私はたいへん失望した。はっきり言うが、この映画は全くの愚作である。映画では、主役である「田中節子」なる人物(すなわち「沼田鈴子」のモデル人物)の心身両面にわたる個人的な「痛み」のみが強調され、沼田が常に大切にしていた「痛みの共有」、「希望の創造」、とくに日本軍の戦争犯罪の犠牲者との「痛みの共有」、その「痛みの共有」から産まれる「希望の創造」は全く無視されて話題にもなっていない。文字通りの単なる「お涙ちょうだい」映画である。この映画は、沼田鈴子の思想と活動をいたく歪曲し萎縮させている愚作である。

関連推薦図書

広岩近広著『被爆アオギリと生きる 語り部・沼田鈴子の伝言』(岩波ジュニア新書 2013年)

斎藤貴男・沼田鈴子・広岩近広共著『あなたは戦争で死ねますか』(日本放送協会 2007年)

横山秀夫著『平和の芽』(講談社 1995年)

川良浩和・山田真理子共著『ヒロシマ花一輪物語―被爆者・沼田鈴子の終わりなき青春』(径書 1994年)

広岩近広著『青桐の下で ― 「ヒロシマの語り部」沼田鈴子ものがたり』(明石書房 1993年)

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Wednesday, July 23, 2014

8月1日大阪、8月13日沖縄/名護イベントのご案内 Symposia on Okinawa - August 1 in Osaka, and August 13 in Nago, Okinawa

海外識者・文化人沖縄声明」メンバー、ピーター・カズニック、ジョセフ・ガーソン両氏と、8月1日大阪で、8月13日沖縄・名護で行う公開イベントを紹介します。詳細はチラシにある各イベント主催者にお問い合わせください。また、オリバー・ストーンとピーター・カズニックが2013年夏来日したときの講演録集、新刊『よし、戦争について話をしよう。戦争の本質について話をしようじゃないか!オリバー・ストーンが語る日米史の真実』(金曜日)を各イベント会場で販売します。どうぞふるってご参加ください。

8月13日・名護

Symposium in Nago, Okinawa, 7-9 PM, August 13, Nago Civic Centre (Mid-Hall)
"What Okinawa Expects from the World" - with members of the International Okinawa Statement
Panelists: Peter Kuznick, Joseph Gerson, Masahide Ota, Keiko Itokazu, Satoko Oka Norimatsu (also translating), Hideki Yoshikawa (also chairing)
A Video Message from Susumu Inamine, Mayor of Nago City

 
 
8月1日・大阪
 
Symposium in Osaka
"For Peace in Japan and Okinawa"
Peter Kuznick and Satoko Oka Norimatsu
6-8 PM, Room 709, L-Osaka
 
 
 

Monday, July 21, 2014

ヒロシマからイスラエルへ―パレスチナ市民無差別殺傷を今すぐやめるように!14団体声明 14 Groups in Hiroshima Demand Israel Stop Indiscriminate Killing of Palestinian Civilians

広島の14団体が連名で7月20日、イスラエル大使館に送った要請を紹介します。Fourteen peace and anti-nuclear groups, Article 9 groups, and religious groups sent a statement to the Israeli Embassy on July 20, demanding an immediate halt to the Israeli Army's bombing and bombardment of Gaza. SCROLL DOWN FOR ENGLISH VERSION. 
 
 
イスラエル軍によるパレスチナ市民無差別殺傷の即刻停止要求


歴史上最も残虐な無差別空爆を受けた都市の一つである広島、その市民である私たちは、イスラエル軍が7月8日からほとんど毎日連続して行っているガザ地区パレスチナ住民に対する無差別空爆殺傷、ならびに7月18日から開始した地上砲撃による無差別殺傷を即刻停止するよう強くイスラエル政府に要求します。これまでの空爆と地上砲撃による犠牲者は、死亡者はすでに400名を超え、負傷者は2600名以上となっていますが、その大半が子どもと女性であって、イスラエルがテロリストと主張するイスラム原理主義者グループであるハマスのメンバーの犠牲者はごく少数にしか過ぎません。犠牲者のほとんどがハマスとは全く関係のない一般市民であって、このような無差別殺傷は、明らかに国際法に違反する「人道に対する罪」であり重大な戦争犯罪行為です。いまや6万人を超えるパレスチナ市民が避難民となり、いつ殺傷されるか分からないという恐怖の中での生
活を強いられているにもかかわらず、イスラエル政府はさらにガザ地区への地上砲撃を拡大しようとしています。このような無法な残虐行為は、どのような理由によっても正当化することは許されません。 

今回のこの空爆の発端は、イスラエル占領下にあるヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ヘブロン近郊で6月30日、行方不明になっていたイスラエルの少年3人とみられる遺体が発見されたことだと言われています。ハマスは犯行を否定したにもかかわらず、イスラエルのネタニヤフ首相は、これをパレスチナ人自治区のイスラム組織ハマスの犯行だと主張し、報復を宣言しました。7月2日には、今度は、東エルサレムで16歳のパレスチナ人少年が誘拐され殺害されましたが、この少年は生きているうちに体に火をつけられ、大やけどをして死亡したと報道されています。しかし、イスラエル少年3名の誘拐・殺人の1ヶ月前に、2人のパレスチナ少年がイスラエル軍に殺害されたことも今回の殺人応酬と深く関係していることは明らかです。

行方不明となったイスラエル少年3人の探索活動中、イスラエル軍は、子どもを含む数人のパレスチナ人を殺害、数十人に重傷を負わせ、400人あまりを拉致、多数の家屋を取壊し、深夜に「捜索」と称して数百に及ぶ市民家屋のドアをぶち破って乱入し私物を破壊するという蛮行を犯しています。これに対してハマス側がイスラエル側にロケット弾攻撃を行ったことが双方の武力行為をエスカレートさせ、今回の激しい無差別空爆へと状況は急速に悪化してしまいました。中でも私たち広島市民がひじょうに心配するのは、イスラエルの核兵器製造に関連していると言われているディモナ原子炉への、ハマスによるロケット弾攻撃です。大事に至らなかったことは、文字通り不幸中の幸いでした。どちらが最初に少年殺傷行為を始めたにせよ、また、どのような理由があるにせよ、いかなる市民殺傷も私たちは許すことはできません。ましてや、無差別大量破壊兵器である核兵器製造ならびにその製造と深く関連する原発施設への攻撃を、原爆と原発事故の両方を経験しその被害の重大性を知っている私たち日本市民は決して許すことができません。 

あらためて述べるまでもなく、イスラエルによるパレスチナ人市民と住宅地を攻撃目標とする無差別空爆=国際法違反の犯罪行為は、これまで数えきれないほど無数に行われてきました。2000年以来、今回の空爆直前までに、無差別空爆を含むイスラエル武力行為の犠牲者となった子どもの数は1407名、すなわちこの14年間平均では毎週2人の子どもがイスラエル軍によって殺害されたことになります。今年5月だけでも、214名の未成年者がなんの罪状もなく勾留され、なんの告訴や裁判もなく拷問を受けています。イスラエルによる交通封鎖で十分に食糧供給をえられないため、ガザ地区の多くの子どもたちが、長年、貧血症などの栄養失調症を患っている上に、激しい空爆や武力行為による恐怖心のため、重い不眠症や深い精神不安に悩まされ続けています。 

こうした子どもたちの苦しみが、子どもを失った親の悲しみがいかに深いものであるか、少しでも想像していただくよう、イスラエルの政治家、軍人、市民の皆さんに訴えます。このような残虐行為はパレスチナ住民の間にイスラエルに対する強い憎悪を産み出すだけで、なんの解決にもならないとは、これまでイスラエルが長年にわたって繰返してきた軍暴力で自明のはずです。 

したがって、真の「事の発端」は少年殺害事件ではなく、ほぼ半世紀にもわたってイスラエルが不法に行っているガザ地区占領と植民地的支配、それに伴うパレスチナ市民の基本的人権の由々しい侵害にあることは誰の目にも明らかです。360平方キロという狭い土地に180万人が激しい貧困と暴力に苦しむ生活を強いられているという状況を、「パレスチナ自治区」などと称すること自体が犯罪的であり、その実態は「収容所」と呼ぶべきでしょう。第2次大戦中、ナチスによる強制収容所で無数の市民が殺害され、生き延びた人たちも残酷な処遇に長年耐えなければならなかった悲壮な経験をもつ民族で構成されたイスラエル国家が、このような惨たらしい「人道に対する罪」を半世紀にわたって他民族に犯し続けていることに、原爆無差別市民殺傷という「人道に対する罪」の犠牲となった広島市の市民である私たちは、本当に残念に思うと同時に、厳しい非難の声をあげずにはいられません。

したがって、私たちは、いかなる暴力、いかなる武力、いかなる殺傷にも強く反対するという立場から、以下のことをイスラエル政府に強く要求します。 

1)パレスチナ市民への無差別空爆を即刻停止すること。

2)パレスチナ市民への地上砲撃を即時停止すること。

3)パレススチナ住民、とくに子どもの殺傷を即刻やめること。

4)パレスチナ市民の人権侵害を即刻やめること。

5)パレスチナ住民地域の不法占領を即刻やめること。 

イスラエル政府が以上の犯罪行為をただちに停止し、パレスチナ人はもちろん、どのような民族の市民の基本的人権も尊重し、「正義と平和」の思想に基づいた公正な政策を一日も早く打ち立て且つ実行することを強く要望します。
 

2014年7月20日

「8.6ヒロシマ平和へのつどい2014」実行委員会(代表:田中利幸)
733-0022 広島市西区天満町13-1-810
(電話)090-4740-4608(FAX)082-297-7145 

「呉YWCA WE LOVE 9条」(代表:木村浩子)
737-0028 広島県呉市幸町3-1  

「東北アジア情報センター」(代表:横原由紀夫)
731-5128 広島市佐伯区五日市中央4-14-1-205   

「ピースリンク広島・呉・岩国」(世話人:新田秀樹・西岡由紀夫・田村順玄)
737-0028 広島県呉市幸町3-1 呉YWCA気付 

 「第九条の会ヒロシマ」(代表:藤井純子) 
734-0015 広島市南区宇品御幸一丁目9‐26‐413 

 「原発はごめんだヒロシマ市民の会」(代表:木原省治)
731-5135  広島市佐伯区海老園2-17-9 

 「poco a poco ~あったか未来をつくる会 from Hiroshima~」
(共同代表:徳岡真紀 弓場則子 長橋綾子)(電話)080-1934-0866

「憲法と平和を守る広島共同センター」(代表:川后和幸)
737-0051  広島市中区大手町4-2-27 

 「ヒロシマ革新懇(平和・民主・革新の日本をめざす広島の会)」
(事務局長:利元克巳)
737-0051  広島市中区大手町4-2-27 

 「広島県AALA連帯委員会」(代表:林紀子)
737-0051  広島市中区大手町4-2-27 

「日本基督教団西中国教区宣教委員会社会部」(委員長:新保能宏)
739-0602‎ 大竹市南栄3-1-29  西中国教区事務所 

「一般財団法人広島YWCA」(代表:半井康恵)
 732-0053 広島市東区若草町6‐7 広島主城教会気付

「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」(共同代表:青木克明 田中利幸 森瀧春子)
730-0005 広島市中区西白島18-4城北ビル2F 足立修一法律事務所内  

「広島宗教者九条の会」(代表:宗藤尚三)
730-0016広島市中区幟町 カトリック教会内 


A Call to Stop Indiscriminate Attacks on Palestinian Civilians by the Israeli Military Forces
 
We the citizens of Hiroshima, the city that was completely destroyed by indiscriminate atomic bombing 69 years ago, demand that the Israeli Government immediately stops indiscriminately killing and injuring Palestinian civilians. So far more than 500 people have been killed and about 3,600 injured as a result of continuous aerial bombing and bombardment on the ground, which started on July 8 and July 18 respectively. More than 80 percent of these casualties are ordinary civilians, in particular, women and children, not members of Hamas that Israel calls terrorist Islamic fundamentalists. Clearly such indiscriminate killing and injuring of Palestinian civilians by the Israeli military forces are crimes against humanity and war crimes. More than 60,000 people are now displaced within the Gaza Strip and struggle to survive under intense fear for their lives. Yet, the Israeli government is planning to further escalate indiscriminate attacks on the Palestinians. We strongly condemn such actions, which cannot be rationalized in any way. 

The reason for the present mass killing is said to have been the discovery of the dead bodies of three missing Israeli boys near Hebron in Palestinian territory on June 30. Hamas denies responsibility, but Israel’s Prime Minister, Mr. Benjamin Netanyahu, claims they were murdered by Hamas, hence the retaliation. On July 7, a 16-year-old Palestinian boy was abducted and killed after his body had been doused in kerosene and set alight. Yet, it should be remembered that one month before the murder of the three Israeli boys, two Palestinian boys were cold-bloodedly killed by Israeli soldiers. This incident is also related to the vicious cycle of escalating violence.   

According to one source, during the search for the above-mentioned three Israeli boys, Israeli occupation soldiers murdered 7 Palestinians (including a 13 year old child), injured dozens, kidnapped nearly 400 people, demolished many houses, destroyed the contents of hundreds of homes that they invaded in the middle of the night and blocked travel attempts by hundreds of thousands of people. They continue to imprison thousands of others, many of whom are on hunger strikes for being held without charge for months. 

In retaliation for such actions by Israeli soldiers, Hamas began launching rocket bombs at Israel, thereby intensifying the reciprocal military violence. The recent attempted rocket attack on the Dimona Nuclear Power Plant in southern Israel by Hamas is of particular concern. It is extremely lucky that this attempt failed. As Japanese citizens, we are well aware of the devastating consequences of the use of nuclear weapons and nuclear power accidents, due to our personal experience of such disasters on our home soil. It is this knowledge that causes us to strongly condemn both the possession of nuclear weapons by Israel and the rocket attack on the Israeli nuclear power plant by Hamas.            

To date, Israel has repeatedly violated international law by indiscriminately attacking Palestinian civilians and their domains. From the year 2000 until immediately before the recent onset of aerial bombing, 1,407 Palestinian children were the victims of indiscriminate attacks by Israeli forces. In other words, over the past 14 years on average two children were killed every week. In May this year alone, 214 minors were arrested, detained and tortured without charge or trial. For years many children in the Gaza Strip have suffered malnutrition, resulting in anemia, due to the shortage of food and medicine as a result of the blockade by the Israeli government. In addition, many children suffer serious psychological problems caused by intense and long-lasting fear, due to repeated aerial bombing and bombardment.

We urge Israeli politicians, military officers and soldiers, as well as civilians to imagine the pain and sorrow of Palestinian children and parents, in particular those of parents who have lost their children because of your indiscriminate and inhumane attacks. Such horrific acts upon Palestinians will only cause them to hate Israel more, and thus produce no solution at all. This logic is self evident from your past actions repeated over many years.  

It is crystal clear that the real cause of the present tragedy is not the recent reciprocal killing of boys, but the illegal occupation and colonization of the Gaza Strip and the grave violation of Palestinian human rights by Israel over the last half-century. A situation where 1.8 million people are confined to an area of 360 km square, suffering from acute poverty and intense violence, cannot be called an “autonomous region.” It could more appropriately be called a “detention camp.” It is indeed tragic to see a nation, which suffered so badly as a result of the horrendous holocaust by the Nazis during World War II and which lost so manly lives as a consequence, committing “crimes against humanity” against a neighboring nation over the past 50 years or so. As citizens of the city, which became the victim of a nuclear holocaust, we urge you to take the following actions. These are based on our commitment to non-military violence or any other form of violence, in particular the killing or injuring of others. We beg you to 

1) Immediately stop the indiscriminate aerial bombing of Palestinian civilians

2) Immediately stop the ground targeted bombardment of Palestinian civilians

3) Immediately stop killing Palestinian civilians, in particular children

4) Stop violating the human rights of Palestinian civilians

5) Stop the illegal occupation of Palestinian territories      

We strongly urge you to cease your on-going illegal actions, to respect basic human rights of all people including Palestinians, and to establish and implement new policies based on peace and justice as soon as possible. 

Yours sincerely,
 

July 21, 2014

 

Yuki Tanaka,

A citizen of Hiroshima,

on behalf of the following 14 organizations in Hiroshima

 

* The August 6 Peace Assembly in Hiroshima (Representative: Dr. Yuki Tanaka)

Tenma-Cho 13-1-810, Naka-Ku, Hiroshima City, 733-0022, Japan

 

* Kure YWCA (Representative: Ms. Hiroko Kimura)

Saiwai-cho, Kure City, Hiroshima Prefecture 737-0028, Japan

 

* The Northeast Asian Information Center (Representative: Mr. Yukio Yokohara)

Itsukaichi Chuo 4-14-1-205, Hiroshima City, 731-5128, Japan

 

* The Peace Link Hiroshima, Kure and Iwakuni (Co-Representatives: Mr. Hideki Nitta, Mr. Yukio Nishioka, Mr. Jungen Tamura)

c/o Kure YWCA, Saiwai-cho, Kure City, Hiroshima Prefecture 737-0028, Japan

 

* The Hiroshima Association of Article 9 of Japan’s Constitution (Representative: Ms. Sumiko Fujii)

Ujina Miyuki 1-9-26-413, Minami-Ku, Hiroshima City, 734-0015, Japan

 

* The Hiroshima Civil Association for No Nuclear Power (Representative: Mr. Shoji Kihara)

Ebizono 2-17-9, Saeki-Ku, Hiroshima City, 731-5135, Japan

 

* The Hiroshima Association for the Establishment of the Future with Friendly Environment (Co-Representatives: Ms. Maki Tokioka, Ms. Noriko Yumiba, Ms. Ayako Nagahashi) Phone: +81-80-1934-0866

 

* The Hiroshima Cooperative Center for Japan’s Constitution and Peace (Representative: Mr. Kazuyuki Senko)

Ote-Machi 4-2-27, Naka-Ku, Hiroshima City, 737-0051, Japan

 

* The Hiroshima Association for the Establishment of Peaceful, Democratic and Reformed Japan (Representative: Mr. Katsumi Toshimoto)

Ote-Machi 4-2-27, Naka-Ku, Hiroshima City, 737-0051, Japan

 

* The Hiroshima Committee of AALA Solidarity (Representative: Ms. Noriko Hayashi)

Ote-Machi 4-2-27, Naka-Ku, Hiroshima City, 737-0051, Japan

 

* The Committee of Social Concerns, West Chugoku Area, the United Church of Christ in Japan (Representative: Yoshihiro Jinbo)

Minami Sakae 3-1-29, Otake City, Hiroshima Prefecture 739-0602, Japan

 

* Hiroshima YWCA (Representative: Ms. Yasue Nakarai)

c/o Hiroshima Shujo Church, Wakakusa Cho 6-7, Higashi-Ku, Hiroshima City 732-0053, Japan

 

* The Hiroshima Alliance for Nuclear Weapons Abolition (Co-Representatives: Dr. Katsuaki Aoki, Dr. Yuki Tanaka, Ms. Haruko Moritaki)

c/o Adachi Shuichi Law Firm, Jyohoku Building 2F, Hakushima 18-4, Naka-Ku, Hiroshima City, 730-0005, Japan

 

* The Religious Association of Article 9 of Japan’s Constitution (Representative: Mr. Shozo Muneto)

c/o Nobori Machi Catholic Church, Hiroshima City, 730-0016, Japan 

Saturday, July 19, 2014

新刊案内:『よし、戦争について話をしよう。戦争の本質について話をしようじゃないか!オリバー・ストーンが語る日米史の真実』

8月上旬発売予定、新刊のご案内です。2013年夏、『もうひとつのアメリカ史』のドキュメンタリー(NHK)と書籍(早川書房)で知られる映画監督オリバー・ストーン&歴史学者ピーター・カズニックが広島、長崎、東京、沖縄で講演旅行をしたときの記録本です。鳩山由紀夫元首相、稲嶺進名護市長など、各地でストーン&カズニックと接した10人の方からコラム寄稿もいただいています。出版社は「金曜日」。乞うご期待!詳細は下記参照。講演旅行に同行したこのブログの運営者、乗松聡子も共著者として参加しています。@PeacePhilosophy



週間金曜日の公式サイトでの案内はここをクリック。

■タイトル
『よし、戦争について話をしよう。戦争の本質について話をしようじゃないか!
 オリバー・ストーンが語る日米史の真実』
■著者
オリバー・ストーン/ピーター・カズニック/乗松聡子
■価格
1000円+税
■出版社
金曜日
■ISBNコード
ISBN978-4-906605-96-5
 
概要

2013年 来日講演録 広島・長崎 ・沖縄 ・東京

序文 平和のための戦士として―オリバー・ストーン
広島編 なぜ原爆が落とされたのか
  • 第8回平和首長会議―「ヒロシマ」「ナガサキ」が2度と起こらないように
  • 8・6ヒロシマ平和のつどい2013―勝者も敗者も歴史でウソをつく
  • 原水爆禁止2013年世界大会―悲しみを超えて
  • コラム:沢田昭二、長友旦子
長崎編 自分たちの歴史を知らない日本人
  • アメリカン大学・立命館大学の学生とのセッション―加害者でもある日本
  • 原水爆禁止2013年世界大会―「歴史」を学ぶことの意味とは
  • コラム:木村朗、高實康稔
東京編 真実が最良のプロパガンダ 
  • 『週刊金曜日』『アジア太平洋ジャーナルジャパンフォーカス』合同インタビュー―語られない米国の真実
  • 外国特派員協会での質疑応答―世界を変える時間はある
  • コラム:鳩山由紀夫、猿田佐世、ジョン・ミッチェル
沖縄編 米軍基地が居座ることの愚かさ 
  • 稲嶺進名護市長訪問―「闘う人 fighter」との出会い
  • 基地の島 OKINAWAを語る―全ての国で抵抗運動を―米国に幻想を抱いてはいけない(琉球新報社創立120周年記念イベント、2013年8月14日)
  • コラム:松元剛、稲嶺進、石原昌家 
あとがき ― ピーター・カズニック/乗松聡子
 
寄稿「ロシアから見たウクライナ問題」―オリバー・ストーン/ピーター・カズニック    
      

出版社からのコメント(Amazonのサイトより

このままでは日本もアメリカの二の舞になる!
ヴェトナム戦争に従軍し、『プラトーン』など多くの反戦映画を手がけてきたオリバー・ストーン監督。そのなかで行き着いた考えは、「政府は必ずウソをつく」。これまで語られていない日米史を知ることで「集団的自衛権」本当の狙いがみえてくる。日本を戦争に向かわせないための手がかりを探る。

Saturday, July 12, 2014

次期沖縄知事は「辺野古埋め立て承認を撤回」する人でなければいけない:市民団体、野党の知事選候補者選考委員会に要望 Okinawa Gubernatorial Election Candidate Must Be Someone Who Will Cancel Henoko Reclamation Approval

On July 11, members of "Article 9 Message Project Okinawa" submitted a statement of request to the opposition parties' selection committee of gubernatorial election candidate. See below for English version.

7月11日、「憲法9条・メッセージ・プロジェクト沖縄」のメンバーが、11月の知事選に向けての県政野党5団体の候補者選考委員会座長の社民党の新里米吉氏に以下の要望書を渡し、その後記者会見でその趣旨を説明した。当日、QAB(琉球朝日放送)とOTV(沖縄TV)で報道されたという。

「県知事候補となる人は前知事の辺野古埋め立て承認の撤回をする人でなければならない」という点をふくめ、一人でも多くの人に読んでもらいたい重要な要望書であると思い、許可をもらってここに掲載する。@PeacePhilosophy

7月19日追記:この要望書の英語版ができました。訳はガバン・マコーマック氏。下方参照。

7月21日追記:要望書提出時や記者会見で話した「要望書提出の趣旨」をここにアップしました。



7月11日琉球朝日放送(QAB)放送画面より、
要望書を提出する「憲法9条・メッセージ・プロジェクト沖縄」の有志メンバーたち



沖縄県知事選挙候補者選考にあたっての要望
 

知事選候補者選考委員会御中

来る沖縄県知事選に向け、貴委員会が、平和と民主主義を貫く候補者の選考にご尽力されていることに対し、心から敬意を表します。
私たちは一市民として、微力ながら、憲法9条を守り、憲法が掲げる崇高な理念を身近な暮らしに活かしていこうという目的で、県内各地で憲法学習会の輪を広げるために活動しているメンバーです。
今、辺野古新基地建設や立憲主義を根底から覆す、集団的自衛権行使の閣議決定強行等、沖縄をはじめ日本が重大な歴史的岐路に立たされています。その中で、来る知事選挙は私たち県民にとって、この沖縄ひいては、日本の在り方・行方を大きく左右する重要な選挙であると認識しています。いうまでもなく、地方自治・首長選挙は、主権者にとって大切な意思表示の機会です。その機会を捉え、私たち市民一人ひとりが声を上げ、自主・自立の行動を示すことがきわめて肝要であると考えています。
そこで、私たちは以下のことを市民の切なる願いとして要望いたします。
 
                  記
 
貴委員会が知事選の候補者に求めている「建白書」の実現と「沖縄県知事に臨む基本姿勢」の内容については、賛同し支持いたします。その上で、さらに下記の4点を候補者選考の基準として考慮し、政策に反映させていただくことを望みます。
                  
1普天間飛行場移設・辺野古新基地建設・高江ヘリパッド建設について
1)今後いかなる事態(政府の強行姿勢等)においても、辺野古新基地建設の反対を貫く。
2)知事就任の際には、「辺野古沖埋め立て承認」を撤回する。
 (3) 現在進行中の高江ヘリパッド建設を即時中止する。
 
2憲法9条・集団的自衛権行使容認について
1)憲法9条の改定には、明文、解釈いずれにも明確に反対する。
(2)憲法9条を空洞化させる集団的自衛権行使に明確に反対する。


3自衛隊配備増強について
宮古・八重山をはじめとする沖縄への自衛隊配備強化に反対する。
 
4米軍基地の縮小・日米地位協定見直しについて
1)普天間基地のみならず、嘉手納基地など、沖縄をアメリカの前線基地にする米軍
基地の縮小・撤去を目指す。
2)沖縄における構造的差別・人権に鑑み、基地被害の元凶の日米地位協定を抜本的に 
見直す。
 
以上要望いたします。
 
尚、私たちは今後とも草の根のネットワークを広げながら、力を合わせてまいりたいと思っています。よろしくお願いいたします。
 
2014711日         憲法9条・メッセージ・プロジェクト沖縄 
  知事選挙を考える有志一同 (代表 城間えり子)
 
 
 
こちらもご覧ください。
 
沖縄「100人委員会」による、知事選に向けての声明
 
 
To the Committee for Selection of Candidate for the Gubernatorial Election

Dear Committee Members,
 
We acknowledge with heartfelt respect your committee’s efforts towards selection of a candidate steeped in peace and democracy for the forthcoming Okinawan gubernatorial election.
 
We, a group of citizens each with just a small voice, are trying to widen the circle of study groups on the constitution in various places throughout Okinawa, with the purpose of protecting its Article 9 and realizing its high principles in our immediate everyday lives.
 
Japan, including Okinawa, now stands at a major historical turning-point, with construction under way on the new base at Henoko and a decision that signifies the fundamental overturn of constitutionalism forced through cabinet on the adoption of the right to exercise the right of collective self-defense. In this situation, we the people of Okinawa prefecture, recognize the coming election as having major implications for the future direction of Okinawa and of Japan. Local self-government elections are of course an important opportunity for the expression of the will of the electors. Taking the view that it is extremely important for each and every one of us citizens to raise our voices and display our sovereign independence, we now issue the following citizen demands.
 
We agree with and support criteria your committee seeks of the candidates that they be committed to “implementation of the ‘Kempakusho’ [see footnote] and the contents of the “Basic Stance on Okinawan Gubernatorial Election.”
 
In addition, we ask that the following four points be considered as criteria for selection of the candidate and reflected in her or his policies.
 
1. On Futenma Airbase Transfer and on the construction of the new base at Henoko and of the helipads at Takae:
 
---a. Unyielding opposition to be maintained to construction of any new base at Henoko regardless of how the situation may develop from now on (such as by the government resorting to force).
 
---b. Upon [the candidate] assuming office as Governor, the “approval of Henoko Bay reclamation” [issued in December 2013 by Governor Nakaima Hirokazu] to be cancelled.
 
---c. Works on the construction of helipads at Takae to be immediately halted.
 
2. On Article 9 of the constitution and the right to exercise the right of collective self-defense
 
---a. Clear opposition to any revision of Article 9, whether by change of the wording or by change of interpretation
 
---b. Clear opposition to any emptying-out of Article 9 by the exercise of a right to collective self-defense
 
3. On the deployment and reinforcement of the Self-Defense Forces.
 
Opposition to any deployment or reinforcement of the SDF to Okinawa, above all to the Miyako and Yaeyama Islands.
 
4. Reduction of US bases and review of the Status of Forces Agreement (SOFA)
 
---a. To plan for the reduction in size and eventual abolition not just of bases such as Futenma but of Kadena and all the front-line US military forces stationed in Okinawa
 
---b. To fundamentally review the SOFA, the root of structural discrimination and infringement of human rights against the people of Okinawa.
 
 
Article 9 Message Project Okinawa (K9MP)

Representative: Shiroma Eriko

July 11, 2014.
 
(Translated by Gavan McCormack)
 
Note: "Kempakusho" is the statement of "all-Okinawa" demand presented in January 2013 to the Abe government by a representative group of Okinawans (including all town and city mayors) calling for withdrawal of the Marine Corps' MV-22 Osprey vertical take-off and landing aircraft from Okinawa, and for the return of Futenma and renunciation of the plan to build a replacement base within Okinawa prefecture. For Ryukyu Shimpo's January 29, 2013 report of the event and the full text of the Kempakusho, see:
 
Okinawan leaders hand a petition to Prime Minister Abe requesting the easing of the base-hosting burden
 
 
 
 

Tuesday, July 08, 2014

7月1日は安倍が日本の民主主義をハイジャックした「屈辱の日」:ジェフ・キングストン(日本語訳)Japanese translation of Jeff Kingston's "Self-immolation Protests PM Abe Overturning Japan’s Pacifist Postwar Order"

日本の英字紙『ジャパン・タイムズ』に7月5日付で掲載されたテンプル大学日本校教授ジェフ・キングストン氏の記事

Shinjuku self-immolation act protests Abe’s democracy hijack(「新宿の焼身自殺行為は安倍の民主主義ハイジャックに抗議する」)

を読んで、今の自分の心情を驚くほどに代弁してくれていると感じた。7月1日「閣議決定」を受けて、私はこの日を「日本の戦後最大の『屈辱の日』Day of Infamy」であるとツイッターとブログでつぶやいたが、このキングストン氏もまさしくこの Day of Infamy という言葉を使っていたことには驚いた。キングストン氏に日本語訳をしたいと伝えたところ、この記事の加筆版を『アジア太平洋ジャーナル:ジャパンフォーカス』に掲載するということを知り、この加筆版の日本語訳をここに紹介する。

ちなみにここでキングストン氏が言うように、主要メディアの中でもこの新宿の焼身自殺未遂事件を「全く」報道しなかったのはNHKのみである。私の知り合いがNHKの報道の人に聞いたところ、「基本的に自殺についての報道は特段の理由がなければ放送しないということと、映像がショッキングなもの過ぎたので放送を控えたようだ」と話していた。私も、ニューヨーク・タイムズのマーティン・ファックラー記者の記事で初めてこの事件を知り、映像にもリンクされていてショックを受けた。そして日本の大事件なのに米国紙のアラートで知らされたことを不思議に思った。日本のメディアによるこの事件の報道は概ね出足も鈍く扱いも小さく、やはりこの行為の政治的意味合いを隠したいという心理が働いたのではないかと思わざるを得ない。@PeacePhilosophy

(注:翻訳は発表後微修正することがあります。)


Self-immolation Protests PM Abe Overturning Japan’s Pacifist Postwar Order
http://japanfocus.org/events/view/222


安倍首相による日本の戦後平和憲法の転覆に焼身自殺行為で抗議

Jeff Kingston
ジェフ・キングストン

2014年6月29日、安倍晋三首相による日本の軍隊への憲法上の制約を取り除く企てに抗議して男性が自らに火をつけた。そしてその後数日間にわたり、何万もの市民が首相官邸前に集まり政府の動きに対する抗議を声高に訴えた。世論調査では、確実に右翼的な報道機関によって行われたものでさえ、安倍氏による平和主義の放棄に対し広がる反対と、集団的自衛権行使に対する支持はほとんどないことを示している。

この焼身自殺行為は、多くのスマートフォンのビデオに捉えられ、ソーシャルメディアで拡散された恐ろしい光景であった。私が日本に住んだ四半世紀のうちで最も珍しい政治的抗議の行為を、主流メディアは無視していたわけだから、これは望ましいことだったと言えるだろう。公共放送であるNHKニュースは全くこの出来事に触れもしなかった。これは明らかに「権力に汚名をかぶせるかもしれない具合の悪い真実は無視すること」というピョンヤン[北朝鮮]のルールを適用していたのだろう。

NHKはメディアとして支配的な位置を占めているので、そこが扱わなかったことの意義は大きい。「インデペンデント・ウェブ・ジャーナル」の岩上安身によると、報道管制は「政治案件だから」と、NHKの人間が岩上に漏らしたという。岩上はそれを受けて、NHKは「公共放送」ではなく「国営放送」であると皮肉を込めて言った。しかしテレビ朝日は焼身自殺行為の映像の一部を流し、翌朝は、ディスカッション形式を取るテレビの「ワイドショー」と呼ばれる諸番組がこの事件の詳細を、安倍による9条再解釈に関連づけて報道した。
 
事件が起こって間もなく、不特定の60代の男性が安倍による憲法の転覆について1時間ほど演説をした後、ガソリンをかぶって自らに火をつけたという概略の報道がメディア各社のウェブサイトに載った。その男性は病院に運ばれた。その後主要の新聞各紙に掲載されたこの事件についての報道は、ほとんどの場合社会面の片隅に埋もれていた。中日新聞はより掘り下げており、その男性が言った内容をもう少し詳しく述べ、男性が与謝野晶子の反戦詩「君死にたもうことなかれ」を引用していたことを伝えた。 
 
この男性の自己犠牲的挑戦行為の象徴的な意味はソーシャル・メディアでは失われることはなかった。彼の「パフォーマンス」のビデオも与謝野の詩もたちまち広がった。主要メディアは概してこの事件を無視したか軽視し、スポットライトを当てることはなく、分析的報道でフォローすることもなかった。三島由紀夫が自分の極右的思想とクーデター計画に公の支持を得ることができなかったことから1970年に自殺したとき以来のもっとも劇的な政治的行為の一つであったにもかかわらずである。今回は、安倍による日本の戦後平和主義の驚くべき放棄という過激なクーデターはすでに決まっていたことなので、当時よりもその危険度はさらに高かったと言っても間違いないだろう。だからこそメディアの鈍く狭量な扱いがいっそう衝撃的なのである。6月30日に安倍の報道官 [菅官房長官のこと]は焼身自殺[未遂]について聞かれても軽くあしらう程度で、内閣は予定通り[憲法]再解釈[の閣議決定]を翌日行うと述べた。 

7月1日、安倍が[憲法]再解釈という先制攻撃に出たことについてあるNHKの記者が私にインタビューしてきた。私が新宿での焼身自殺[未遂]事件について触れたところこのベテランの記者は唖然とした顔をして、一体何の話なのかと聞いてきた。このニュースはCNNやソーシャルメディアでも大きな扱いだったと私が説明したら、彼は聞いたこともないとのことだった。そして私が見せようとしても興味を示さなかった。日本におけるメディア検閲は心配すべきことではあるが、主要メディアの記者たちの無知と無関心はさらに大きな脅威かもしれない。

焼身自殺は弱者の武器であり、権威主義的権力を目の前にしての道義的権威の表明でもあり、通常は専制的国家に限って見られる最後の抵抗表現の手段である。チベットでは、中国による抑圧、文化的優越主義、経済的搾取に抗議して2009年以来わかっているだけでも130人が自らの体に火を放った。2010年には街頭の物売りの焼身行為による抗議が専制政治に対する全国的な革命のきっかけとなり、それが「アラブの春」へとつながった。しかし日本においては、安倍の思想的計略と秘密保護法を通じての民主主義回避、9条の空洞化と多数派の意見に逆らっての原発再稼働に対する抗議運動が増加しても「日本の春」は起こりそうにない。 
 
間違いなく、安倍の九条再解釈は根本的な転換である。憲法による戦争禁止を覆したからだ。そうすることよって、国のアイデンティティの試金石となった戦後の平和主義的秩序を署名一つで転覆させてしまった。しかし安倍は憲法を改正する既存の手続きを迂回し、しかもそれを、憲法に定められているように憲法改正によってという正面玄関からではなく、一つの政令[閣議決定]という裏口を使うことによって日本の民主主義を愚弄し好き放題にやっているのである。
 
最高裁判所はずっと前にこの国が自衛のための能力を持つ権利を有するとの判決を下しており、したがって自衛隊は合憲とされているが、多くの日本人がこれに反対しこの判決に挑戦してきている。1981年、内閣法制局は、日本は集団的自衛権を有するが、9条があるのでそれを行使はできないと決定している。それ以来歴代の自民党保守内閣はこの解釈を支持し、憲法を尊重してきている。安倍はこの憲法を、米国が日本を弱く従属的な国のままにさせるために押しつけたものと感じていることから長年改憲をしたいと思い続けてきた。しかし国会で支配的な立場があるにもかかわらず改憲に必要なだけの支持が得られないことから、皮肉にも攻撃時に米国を防護することの必要性が生ずることを主な根拠の一つとし、絶対的命令によって憲法再解釈をすることを選んだ。 

明らかにそのような防護をしたいと思う日本人はあまりいない。例を挙げれば、読売新聞は7月2日から3日にかけて行った世論調査で、米国領(グアムやハワイ)に向かって発射されたミサイルを自衛隊が撃ち落とすことに賛成かと聞かれたうち、賛成したのは37%のみで、反対が51%だった。ちなみに読売新聞は、安倍による集団的自衛権行使を容認するための9条の再解釈の熱心なチアリーダーであり、より都合のいい結果を引き出すための設問をするところだ。それだけにこの新聞社による世論調査で37%のみが賛成、51%が反対という結果が出たのは特記に値する。7月1日から2日にかけて行われた共同通信の世論調査では、集団的自衛権行使容認に反対が54.4%、賛成は34.6%であった。共同の調査では、73.9%が行使容認の範囲が広がる恐れがあると答えている。安倍が安心させようとして、そうはならないと言ったことに納得していないことが明らかだ。共同の調査では61.2%が日本が戦争に巻き込まれる可能性が高まるとしている。行使容認が戦争を防ぐ抑止力になるとの安倍の主張を拒否した形だ。これに賛成したのは34%であった。 

安倍は自衛隊の束縛を解いたが、共同の調査の結果によると回答者の73.2%が武力を伴う集団安全保障への自衛隊の参加はに反対した。

どちらの世論調査でも、回答者のうち圧倒的多数が、安倍が一方的に9条を再解釈したことに批判的である。読売の調査では、十分な議論がされたと同意したのは13%だけであった。両方[読売と共同]の世論調査で、80%以上が十分な議論がされていないと感じていた。 
 
このように、保革を超えて、安倍が見苦しくも9条を骨抜きにしたことについて相当な動揺が広がり、集団的自衛権行使容認についてはほとんど支持がない。平和主義は国のアイデンティティの試金石であることから、ほとんどの日本人は安倍による9条放棄に反対している。さらに、政令[閣議決定]により9条をサボタージュすることは、両院の3分の2以上の賛成と国民投票の過半数を要するという、改憲に必要な手続きを政令により出し抜くことになる。したがってこのような手続きを回避して再解釈をすることは民主主義を侮る怪しい企てとみられる。このように、安倍は日本の平和主義憲法の心と魂ともいえる部分をを夜逃げのように盗み取っていったのである。 
 
「チーム・安倍」は安倍の軍事主義的な計略に「積極的平和主義」とのブランドを付けた。しかしこのような見かけだけの詭弁に効果がなかったことは明らかであった。3か月におよぶ政治的劇場と集団的自衛権行使の果てしない宣伝を行っても、安倍はその前からすでに自分に賛成していた人々以外の人々を説得することはできなかった。実際すでに賛成している人々もほんの僅かである。 

 集団的自衛権を行使する諸条件は大変曖昧に定義されており、それらは日本の武力行使と戦争遂行に対して切られた白地小切手[無制限に可能となる]のようなものだ。公衆は、皆が危険な坂道であると理解しているものに安倍が国全体を無理やり引きずり込んでいると危惧している。戦場の混乱では引き際が不明瞭となり、同盟国を守るための限定的な行為は容易にエスカレートし制御がきかなくなる可能性がある。

結論を言えば、多くの日本人にとって、安倍は中国や北朝鮮よりも大きな脅威であると思われていることである。[憲法再解釈の]賛同者たちは、中国が領土論争で軍事力を高めており、北朝鮮がミサイル発射により好戦的な口調を強めていることで日本が危険地帯に置かれているからという理由で憲法の再解釈を正当化しようとしている。しかし日本の公衆はこれらの脅威を理解しつつも、それよりもさらに安倍を恐れているように見える。基本的に公衆は、安倍または後継者によって、米国の命令のもとにいつかどこかで自国が戦争に引きずり込まれると心配している。
 
昨年、「永遠の0」という映画がヒットしたが、その映画では主役が、戦争と、すでに負けている戦争に対し何の結果ももたらさない自爆攻撃で残酷にも若者たちの命を無駄にする特攻に対し内部からの抵抗を試み、力強い反戦のメッセージを発した。この映画に出てくる筋金入りの軍国主義者たちは狂った社会病質者のように描かれている。安倍はこの映画を好んだとされているが、彼はこの映画を本当に理解していたのだろうか。

安倍が自国の恐るべき軍隊を解き放とうとする動きは戦後日本の規範と価値を踏みにじるものだ。学校に通う子どもたちは教科書で戦争の悲惨さを学び、重点は主に日本の人々が戦時中味わった忌まわしい苦痛に置かれる。多くの子どもたちは修学旅行で広島や沖縄を訪れ、日本の戦争放棄をうたう憲法への支持を底上げさせるような生々しい反戦のメッセージに触れる。それとは対照的に、安倍は汚名を着せられた日本の戦時中の過去を復権させようとする試みでよく知られるようになったが、国の評判に泥を塗り米国や東アジアの近隣諸国を遠ざけ、自分の方になびく人間をほとんど獲得できなかった。 

国際的には、米国は過去半世紀もの間日本に重圧をかけてやらせようとしてきたことを安倍がついに達成したことを歓迎した。安倍の陰険な手段が彼の憲法クーデターの評判を悪くしていることや、民主主義の原理をおとしめていることについて懸念はほとんどないように見える。目的さえ達すれば手段は何でもいいのだ。韓国は、日本への批判は控えめにするように米国から圧力を受けていることもあり、周辺地域からの反応は比較的抑えたものとなっている。しかし中国は日本の軍事主義の再起に注目を集めさせ、中国の脅威を捏造したと安倍を非難する機会を逃さなかった。安倍が反対を強圧で封じたこととそのタカ派ぶりを非難しているが、自国の反対派を全て鎮圧し20年にもわたって毎年二桁の軍事費増加をしてきた国にしては随分厚かましいものだ。ある意味では、中国はその覇権的な野心で、あり得る地域のブギーマン[注:欧米などで子どもたちが恐れる想像上の怪物]のように振る舞ってきたことで安倍の安全保障計略推進の後押しをしたと言える。 
 
2014年7月1日は自衛隊創立の60周年であるが、戦後日本史の分岐点として歴史に残ることになるだろう―安倍が民主主義をハイジャックした21世紀の「屈辱の日A Day of Infamy」(注)として。それを安倍は9条と日本の戦後平和主義秩序を無節操な方法で放棄することによって、そして憲法規定の手続きを踏む度胸もなく専断によって達成したのだ。人々は安倍を恐れているが、それ以上に安倍は人々を恐れている。
 

 注: A Day of Infamy - 1941年12月7日の日本の真珠湾攻撃についてルーズベルト大統領(当時)が使った言葉。2001年9月11日の同時多発テロのときも使われた。


ジェフ・キングストン
テンプル大学日本校のアジア研究学科ディレクター、『アジア太平洋ジャーナル:ジャパン・フォーカス』エディターNatural Disaster and Nuclear Crisis in Japan: Response and Recovery after Japan's 311, Rougledge 2012 の編者、Contemporary Japan (2nd Edition), London: Wiley 2013 の著者。
 

 (翻訳:乗松聡子)

 
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Friday, July 04, 2014

安倍氏の憲法再解釈を受けてニューヨーク・タイムズ社説が批判ーアジアの緊張緩和が必要なときに「納得し難い転換」

7月1日の閣議決定「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について 」と安倍氏の記者会見を受けて『ニューヨーク・タイムズ』はただちに社説で、おもにアジアでの緊張緩和の妨げになるとの観点から批判した。中韓が、「日本がこの新たな権限をどのように使うのか警戒している」との部分の「新たな権限 new authority 」には苦笑した。社説の筆者の意図は知らぬが、権力者の権限を制限する憲法を権力者が勝手に変えて「新たな権限」を得たという皮肉がこめられているとしたら、よくできたものだと思う。@PeacePhilosophy

官邸HP「総理の演説・記者会見など」より


Editorial
社説

Japan and the Limits of Military Power
日本と軍事力の制限

http://www.nytimes.com/2014/07/03/opinion/japan-changes-limits-on-its-military.html?src=twr

By THE EDITORIAL BOARD JULY 2, 2014
2014年7月2日 論説委員会

Prime Minister Shinzo Abe has disturbed many in Japan and increased anxiety in Asia by reinterpreting his country’s pacifist postwar Constitution so that the military can play a more assertive role than it has since World War II. While a shift in Japan’s military role was never going to be readily accepted by many, Mr. Abe’s nationalist politics makes this change even harder to swallow in a region that needs to reduce tension.
安倍晋三首相は、終戦以来今までよりも軍隊がより積極的な役割を果たせるように日本の戦後平和憲法を再解釈することによって日本の多くの人を動揺させ、アジアにおける不安を増加させた。日本の軍事的役割における転換はそもそも日本の多くの人にとって容易に受け入れられるものではなかったが、緊張を緩和しなければいけない地域において安倍氏の国家主義的政治はさらにこの転換を納得し難いものにしている。

It is difficult to overstate the significance of what Mr. Abe has done. Since 1947, Japan’s Constitution, written and imposed by the American Army, has permitted the military, known as the Self-Defense Forces, to engage only in self-defense. That meant the large and technologically advanced armed forces was barred from “collective self-defense” - aiding friendly countries under attack - and thus was far more constrained than those of other nations.
安倍氏が行ったことの重要性はいくら強調しても誇張にはならない。1947年以来、米陸軍によって起草され日本に課された憲法は、「自衛隊」として知られる軍隊に対し自衛に携わることのみを許可してきた。それは、規模も大きく技術的にも優れている軍隊が「集団的自衛権」行使-友好国が攻撃されたとき援護すること―を禁じられ、従って他国の軍隊よりもはるかに大きな制限を受けていたことを意味する。

With the reinterpretation, Japan’s military would still face restrictions on what it could do, but it would be allowed for the first time, for example, to help defend an American ship under attack, destroy a North Korean missile heading toward the United States or play a larger role in United Nations peacekeeping operations.
再解釈により、日本の軍隊はまだその行動に制限が加えられるが、例を挙げれば、攻撃を加えられた米国艦船を防護したり、米国に向かう北朝鮮のミサイルを破壊したり、国連平和維持作戦により大きな役割を果たすといったことが初めて可能となる。

Mr. Abe has long argued for changing the Constitution on the grounds that Japan should assert itself as a “normal” country, freed of postwar constraints imposed as a consequence of its wartime atrocities and defeat. He now has another argument for expanding the military’s role: Japan, the world’s third-largest economy after the United States and China, needs to be a fuller partner with the United States in countering China as it increasingly challenges the conflicting claims of Japan and other countries in the South China and East Asia Seas. Washington has long urged Tokyo to assume more of the regional security burden.
安倍氏は 戦時の日本による残虐行為と敗北の結果として戦後に課された制約から自由になり、日本が「普通の」国として自らを主張するべきであるとの根拠により改憲を長い間訴えてきた。安倍氏には今軍隊の役割を拡張するためのもう一つの主張がある。米国と中国に次ぐ世界第三位の経済を持つ日本が、南シナ海と東シナ海における日本や他の国々との相反する主張に対しより強く挑戦するようになった中国に対抗するにあたり、米国にとってのより完全なパートナーになるべきというのだ。

What stood in Mr. Abe’s way was Article 9 of the Constitution. It says the Japanese people “forever renounce war as a sovereign right of the nation and the threat or use of force as means of settling international disputes.” Any change should have required a constitutional revision, which would mean winning two-thirds approval in both houses of Parliament, followed by a referendum. Instead, Mr. Abe circumvented that process by having his government reinterpret the Constitution.
This is not the first time Japanese leaders have gone this route. Past governments have reinterpreted the Constitution to allow the existence of a standing military and permit noncombat missions abroad. But this step goes further.
安倍氏にとって邪魔だったのは憲法第九条であった。九条は、日本国民は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」としている。これをどのように変えるにしても、両院の三分の二の賛成に続く国民投票という改憲手続きが必要になる。安倍氏は、そのような手続きを踏む代わりに、自分の政府に憲法を再解釈させてその手続きを回避した。日本の指導者がこのような手段を取ったのは初めてとは言えない。過去の政府も憲法を再解釈し、常備軍の存在を許し、外国の非戦闘地域への派遣を認めてきた。しかし今回はさらに踏み込んだ形となる。

The prospect of altering Japan’s military’s role is controversial as well as consequential, with many Japanese citizens voicing fears about being dragged into foreign entanglements. Several polls showed that 50 percent of all respondents opposed the reinterpretation; in recent days, thousands of people have protested in front of the prime minister’s residence.
日本の軍隊の役割を変更する可能性は重大なだけでなく、物議を醸すものだ。多くの市民が外国での紛争に引きずり込まれるとの恐れを口にしている。数件の世論調査によると、全回答者の50%が再解釈に反対した。最近になって、官邸前で数千・数万の人々が抗議した。

Although some countries, like the Philippines, endorsed Japan’s move, China and South Korea, which suffered greatly from Japan’s aggression, are wary about how Japan might exercise this new authority. While they share blame for the current tensions with Japan, Mr. Abe is fueling their fear and mistrust with his appeal to right-wing nationalists and their abhorrent historical revisionism. For instance, he  unnecessarily reopened the politically charged issue of the Japanese military’s use of Korean women as sex slaves during World War II, though his government’s recent report acknowledged the abuses. Still, the South Koreans have reacted with outrage.
フィリピンのように日本の動きを支持する国もあるが、日本の侵略に多大な被害を受けた中国や韓国は、日本がこの新たな権限をどのように使うのか警戒している。現在の日本との緊張関係には中国や韓国も責任があるが、右翼的国家主義者たちとその人たちによる嫌悪すべき歴史修正主義に安倍氏が訴えかけていることに対する恐れと不信に安倍氏が拍車をかけている。例を挙げれば、朝鮮半島の女性たちを日本の軍隊が性奴隷として使った、という政治的な議論を呼ぶ問題を、安倍氏は必要もないのに再開させた。最近の政府による報告書では、虐待の事実は認めたにもかかわらずである。それでも韓国の人々は激しい怒りをもって反応した。

The Japanese Parliament must still clear legal barriers to the constitutional reinterpretation by revising more than a dozen laws, which could take months. Mr. Abe’s governing coalition has a comfortable majority in both houses, and the revisions are expected to pass. Even so, there is time for citizens to be heard through their elected representatives. It is fair for them to ask Mr. Abe to prove that the shift “is not going to change Japan into a country that wages wars.”
日本の国会はまだこの憲法再解釈の法的障壁をクリアしなければいけない。そのためには1ダース以上[12以上]の法律を改正する必要があり、何か月もかかると言われている。安倍氏の連立政権は両院において余裕のある多数派を占めており、これらの法改正は通過することが予想される。そうだとしても、市民が自分たちが選んだ国会議員たちを通して意見を表明する時間はある。市民たちが安倍氏に、今回の政策転換が「日本を戦争をする国にするようなものではない」(注)ことの証明を要求することは正当である。

(以上)

注:安倍氏が7月1日の記者会見で「日本が再び戦争をする国になるというようなことは断じてあり得ない」と言った言葉を指していると思われる。

日本の解釈改憲問題についてのNYT紙の過去記事の日本語訳は

5月9日
ニューヨーク・タイムズ社説、安倍首相の解釈改憲への動きを批判

2月19日
ニューヨークタイムズ社説、憲法を個人の意のまま変えようとする安倍首相を最高裁で裁けと警鐘!

今回の社説を報道した日本メディアの例:

時事通信
集団的自衛権「納得し難い」=「国家主義者に配慮」と首相批判-米紙社説
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014070301007

ANN
米有力紙社説 安倍政権の“憲法解釈変更”に警戒感
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000030031.html

産経新聞
憲法解釈変更に慎重姿勢 NYタイムズ紙、中韓の批判を強調
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140704/amr14070411180004-n1.htm